今月の作家インタビュー:アクセサリー作家 末野 美由紀(SUENO MIYUKI)さん

新作発表の度に、新鮮な驚きと満足感を与えてくれるアクセサリー作家、末野美由紀さん。
彼女の生み出す作品はシャープであると同時に、カッコいい女性の生き様をも表現している、と感じます。
かく言う私もファンの一人。
だって何より、彼女の作品を身に付けている日は一日中気分がイイ!
彼女自身も作品のイメージ通り、シャープで爽快な大人の女性でした。

ベタな質問ですが、アクセサリー作家になったきっかけは?

自分の欲しいと思うアクセサリーが売ってない!というのが始まりです。
作り始めた当時、大振りでシンプル、辛口なテイストというものがなかなか無くて。
「何故、お花なんだろう、天使の羽なの?モチーフがもっと辛口なものはないのだろうか?」
と随分意識して探してたけど、手に入れるのが難しかったんです。
探すのも大変だし、ならば自分で作ってみようかな、と。

どんな方に身につけて欲しいですか?

変遷の中でも自分らしさを大切にできる、凛とした呼吸感のあるイカす人達!
本来、アクセサリーを含むファッションとは、外側へ向けたものではなくて、自分の内側との対話を通じた結果のようなもの、だと思うんです。
位置づけは人それぞれですが、その人なりの着こなしで楽しんで欲しいですね。

制作するにあたって、そのパワーの源、原動力は?

素敵な人達、カッコイイ人達と出会うこと、交流を深めること。
何かを生み出すことを仕事としている方、巨匠や尊敬する先人の作品に触れる事も大切にしています。
異国への旅も、大きな活力源ですね。

好きな事や夢などは?

好きな事は、旅行です。
特にヨーロッパは大好きですね。
そこで出会った何かを感じる瞬間の風景や、独特の空気感を出すモノたちの写真を撮り集めること。
あと、手縫いで遊ぶのも好きです。
次回の展示会に、以前からご要望のあった、旅先へ持っていけるアクセサリー用キャリングポーチを10点ほど出す予定です。
何しろ私の作品は規制外サイズなものですから。

夢は、いろんな分野、異業種の人達とセッションのような表現活動がしたいですね。
音楽であったり、映像であったり、食であったり。

軸にしているコンセプトやテーマはありますか?

シルバーならではの質感、フォルムを追求すること。
いわゆる『宝石』ではない素材を生かしつつ、シルバーでしか表現出来ない大胆さの追求。
例えば、リボン、リネン、木、スパンコールなど。
建材などと組み合わせるのも面白いのでは?と思っています。
一番大切にしているのは、潔さ、斬新なシンプルさです。

今後進みたい方向性などありますか?

五感をテーマに位置づけています。
現代は便利さやスピードを追求し続けた故に、季節感のなさ、環境の破壊、天候の異常などが起こり、殺伐とした問題がクローズアップされてきています。
自分自身も含め、日々の生活の中で五感の感覚が鈍ってきているように思えるのです。
そんな中で、日本人が本来特に大切にし、研ぎ澄まされていたと言う五感を意識し、取り戻すにはどうしたらよいのか。
そういうテーマ性を持ったデザインソース、形、間、存在、思いなどを盛り込み、五感を取り戻すきっかけとなるような作品を作りたいと思っています。

最近、五感を表現するという形の一つとして、作品に言葉を添えるスタイルを始めました。
作品ごとに、コンセプトを含めた5senso(sensoとはイタリア語で感覚。の意)カードを付けています。

これから挑戦したいことは?

言葉や文化、宗教などを越えたフィールドで、作品がどのように受け入れられ、反応がどうであるかを確認したい、という思いがあります。
デザイン源や自然などをホリゾント(背景)とした作品の写真と言葉を添えた5senso カードを、一度グラフィカルな形でまとめてみたいですね。

末野さんにとって、ものを作るということは?

時空の旅。
今はこの表現が、一番適切な気がしています。
道なき道をめざし、辿りつけないものに、ひたすら辿りつきたいと願う。
限りなく透明で、大きな大きな門を目指しているような。
禅問答のようなものかも知れません。

最後に、今後の予定を教えてください。

12月に福岡展と東京展。
来年の2月に天草展(熊本)、5月に岐阜展、8月に熊本展が決まっています。
お近くの方はぜひ遊びにいらして下さい。

『hitotubu-sora』でもお知らせさせていただきます!
今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

ありがとうございました。

末野美由紀さん(Fonteskey)のホームページ  http://www.fonteskey.com/